起業をする方法は?株式会社の作り方
現在個人事業主として事業を行なっている人、フリーランスで活動中の人の中には
「いつか法人化したい!」「1人社長になりたい!」
などと起業を目指している人が多いのではないでしょうか?しかし、いざ起業しようと思っても、実際に会社を設立するには多くの手続きが必要で、いくつもの書類を準備したり役所に提出しいったりと、やらなければいけないことがたくさんあります。
そこで今回は


などの不安を抱えている人のために、事前準備から会社設立まで、会社の作り方をわかりやすく解説していきましょう。
設立費用は約23万円
まずはじめに費用についてですが、株式会社の設立には23万円ほどかかります。
事前準備にかかる費用
印鑑代 | 20,000円 |
発起人の印鑑証明書 | 300円 |
電子定款作成料 | 5,000円 |
印鑑代はあくまで目安ですが、事前準備で25,300円ほどかかります。
申請時にかかる費用
登録免許税 | 150,000円 |
定款認証手数料 | 50,000円 |
定款謄本手数料 | 2,000円 |
申請後にかかる費用
登記事項証明書(3枚) | 1,800円(600×3) |
会社の印鑑証明書(3枚) | 1,350円(450×3) |
印鑑代や謄本手数料はおよその金額で出してますが、合計230,450円ということになります。
この他にも各機関へ出向く交通費や、税理士や社労士に依頼した場合はその費用もかかってくるので、多く見積もって30万くらいは準備しておく必要があります。

株式会社設立までの5ステップ
株式会社を設立するにあたって、基本的な流れは以下の5ステップです。
準備を初めてから登記完了するまでには、急いでやっても1〜2週間はかかります。
慌てて準備してどこかで不備や失敗をしてしまわないよう、余裕を持ってひとつひとつ進めていきましょう!
事前準備
株式会社設立の手続きに進む前に、まず初めに決めておくことが8つあります。
商号(会社名)
会社の名前は、正式には「商号」と呼ばれています。まずは会社の名前を決めるところからはじめましょう。
登記完了後は簡単に変更することが出来ないので、よく考えて決める必要があります。
- 「株式会社」を必ず入れる
- 使用できる文字や記号がある
- 由来がわかりやすい
- インパクトがあり覚えやすい
名前の前か後どちらかに必ず「株式会社」という文字を入れなければいけないというルールがあります。前にするか後にするかは自分で決められるので、文字にしてみた時の見た目や、読み上げた時の響きで良いと思う方を選んでいいでしょう。
名前に使用できる文字や記号にもルールがあり、
文字はひらがな・カタカナ・漢字・アルファベット・アラビア数字、
記号は「&」「‘」「,」「-」「.」「・」のみ使用することができます。
また、なぜその名前にしたのか由来をイメージできたりインパクトの強い名前であれば、多くの人に覚えてもらいやすく、良いイメージに繋がります。
注意する点として、全く同じ名前の会社が本店所在地近くにあった場合、その名前はつけることができません。

本店所在地
商号の次は本店所在地を決めましょう。本店所在地とは、本社の住所のことです。
日本全国どこでも置くことができ、その地方自治体に納税することになります。
一般的には、事業をおこなう事務所の住所にすることも多いですが、自宅の住所を本店所在地にすることも可能です。
しかし、賃貸のマンションやアパートでは事務所として使用することを禁止している場合もあるので、あらかじめ賃貸借契約書の内容を確認しておく必要があります。
また、登記上は自宅の住所を本店所在地としていても、実際の事業は自宅とは別の事務所でおこなうこともできるので、本店所在地と事業をおこなっている場所が必ず同じでなければいけないということはありません。

事業目的
株式会社を設立するには、会社を運営するにあたっての基本規約を書いた「定款(ていかん)」を作成します。定款には、会社の「事業目的」つまり、「何をしている会社なのか」を必ず書かなければいけません。
会社は、定款の中に書いた事業目的以外の事業を行うことはできないので、設立時に決めている事業だけでなく、将来おこなっていくかもしれない事業についてもしっかり見据えて書きましょう。
資本金
資本金とは、事業を始める時点で会社が持っている運転資金のことです。
1円以上であればいくらでも設立できますが、実際の事業資金としては足りません。
資本金額が多ければ金融機関や取引先からの信用度は高くなる一方、多すぎても税金に影響してくることがあるので、多ければいいと言うことでもありません。
機関設計
「機関」とは、会社の意思決定や運営をする人や会議のことです。たとえば「株主総会」「取締役」「取締役会」「監査役」「監査役会」「会計監査人」「会計参与」などがあります。
これらをどのように設置するのか組み合わせることを「機関設計」と言います。
考えるポイントとしては「取締役会」を置くか置かないかというところですが、1人で株式会社を設立する場合には関係ありません。
なので、1人で株式会社を設立する場合の機関設計は、代表取締役1人のみということになります。
事業年度
一般的には「4月1日から翌年3月31日まで」を事業年度に決めている会社がほとんどです。
しかし、1年以内であれば自由に決めることができるので、会社を設立するタイミングから1年間でもOKです。

会社の印鑑
会社を設立するには、4種類の印鑑が必要になります。
- 会社実印(代表者印)
- 会社銀行印
- 角印(社印)
- 住所印(ゴム印)
会社実印(代表者印)
会社実印は法務局に登記申請を行う際に必要となります。
大きさは、一辺が10mm〜30mmの正方形に納まるものと決められていて、外側に会社名、内側に役職名を入れるのが一般的です。
会社銀行印
会社銀行印は、個人の銀行印と同じように銀行口座の開設する際や手形・小切手を発行する際に使用する印鑑で、銀行に届出を行います。会社実印とそのまま銀行印として併用することも可能ですが、紛失時のリスクを避けるために専用の銀行印を作ることをオススメします。
角印(社印)
領収書や見積書・請求書など、日常の業務で使用する書類に使用されるのが角印です。会社実印に比べ重要度が低くなる分、使用頻度は高くなります。
住所印(ゴム印)
住所印には、会社名・本店所在地・電話番号・代表者名などを入れます。いちいち書くするよりもかなり時間が短縮できるので、作っておくことをオススメします。
個人の印鑑証明書
株式会社を設立するには、発起人(設立する人)や取締役の個人の印鑑証明書が必要になります。
持っていない人は、住所登録をしている市区町村の役所に行き、印鑑登録申請をおこなってください。申請が完了したら、そのまま同じ役所で印鑑証明書を取得しましょう。
登記申請する際には3ヶ月以内に発行されたものを提出する必要があります。

定款の作成
事前準備が終わったら、次は定款を作成しましょう。
定款とは、会社を運営するにあたっての基本規約のことで、会社は定款にしたがって運営しなければいけません。
定款には電子定款と紙定款があり、「会社設立freee」などのオンラインサービスを使うと、電子定款ならたった5,000円で行政書士に依頼することができます。

資本金の払い込み
定款の認証が完了したら、次は資本金の払込をします。
資本金払込とは、会社設立時の資本金を発起人名義の銀行口座に振り込むことです。
発起人個人の銀行口座の用意
まずはじめに、発起人個人の銀行口座を用意します。
すでに持っている口座があればそれを使用するのもいいですし、新しく口座を開設してもどちらでも大丈夫です。
通帳のコピーをとる必要があるので、通帳のある口座を用意しましょう。
資本金を払い込む
次に資本金を払込みます。
今回は発起人が自分1人なので、現金の預け入れで入金しても問題ありませんが、すでに口座の残高が資本金額以上だったとしても、そのまま使うことはできません。
一旦資本金を引き出してから、改めてその金額を入金する必要があるので、少し面倒ですが注意しましょう。
また、入金するのは必ず公証役場にて定款認証済の定款を受け取った日以降に行なってください。
通帳のコピーをとる
コピーするのは表紙・表紙裏の見開きページ・入金が記載されているページの3枚です。
登記申請に必要な添付資料なので、無くさないように大切に保管しましょう。

必要書類の準備と登記申請
資本金の払込が終わったら、次は登記申請に必要な書類を準備します。
必要書類は以下の8種類です。
- 登記申請書
- 発起人決議書
- 払込証明書
- 個人の印鑑証明書
- 電子定款
- 就任承諾書
- 印鑑届書
- OCR用紙
必要書類は全部「会社設立freee」で揃えることができます。
申請の方法は、①法務局に行って申請②郵送で申請③オンラインで申請の3パターンありますが、今回は①の法務局に行って申請するパターンで解説していきます。
書類を提出してからだいたい1週間〜10日ほどで登記完了です。
届け出の提出
無事に登記完了し、必要書類の受け取りまで終わったら、開業までにいくつか手続きや届出を提出しなければいけません。
主な届出先は以下の3つです。
年金事務所への届出
会社を設立すると、社会保険(健康保険・厚生年金保険)へ加入することが義務付けられています。
役員や従業員の数に関係なく、社長1人の会社であっても、必ず加入しなければいけません。
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- 登記事項証明書(原本)
健康保険・厚生年金保険新規適用届は「会社設立freee」からダウンロードしたら、今回は必要箇所を自分で記入する必要があります。
記入したら、登記事項証明書の原本と併せて登記完了の日から5日以内に提出しましょう。

税務署への届出
- 法人設立届出書
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 個人事業の廃業届出書(必要であれば)
これらも全て「会社設立freee」からダウンロードして、印刷しましょう。
法人設立届出書には、定款のコピー・登記事項証明書(コピー)・株主名簿・設立時の貸借対照表の添付が必要です。
また個人事業主として開業届を出していた人は個人事業の廃業届を提出する必要もあるので、忘れずに提出しましょう。
提出する場所は、本店所在地を管轄する税務署になります。

地方自治体への届出
会社を設立すると、国税以外に地方税も納める必要があります。
そのため、都道府県と市区町村のどちらにも届出をしなければいけません。
- 法人設立届出書
- 定款のコピー
- 登記事項証明書のコピー
提出期限は各自治体によって異なるので、それぞれHPなどから確認しておきましょう。
最後に・・
届出がすべて完了したら、そこからようやく本格的に会社運営がスタートします。
名刺や会社概要などの営業ツールの作成、事業に必要な設備の購入など、開業準備に取りかかりましょう!